2013年8月19日月曜日

【おすすめ日本ワイン】上幌ワインの『藤澤農園余市ケルナー2012』Kamihorowine “Fujisawa Vineyard Yoichi Kerner 2012”


こんにちは。
今日は、弊社刊の『日本ワインガイド 純国産ワイナリーと造り手たちの著者・鹿取みゆきさんの記事で、おすすめ日本ワイン】を紹介します。

上幌ワインのワインが初リリース!!! 

今、産地形成へと大きな一歩を踏み出しているのが北海道の余市と空知(空知には三笠と岩見沢も含まれます)。
その空知から北海道にとって、新たなエポックメイキングとなるワインが誕生しました。

その名も上幌ワインの『藤澤農園余市ケルナー』。
ブルース・ガットラヴさんが造ったワインがとうとうリリースされるのです。
2009年春、ブルースは、北海道のワイン産地としての潜在力、北海道のブドウから造るワインに魅せらて、空知の岩見沢に畑を拓きました。

そして、昨年、2012年に「10R(トアール)ワイナリー」というワイナリーを立ち上げました。ただしブルースは、ワイナリー名を前面に出すことを望んではいません。というのも、このワイナリーが周辺のブドウ農家のみなさんにとっての委託醸造場としての役割を果たしていくことを願っているためだからです。そして、現在ここで委託醸造をしているKondoヴィンヤードだったり、ブドウを育てた藤澤農園だったりをアピールしていきたいと、ブルースは考えています。
10Rワイナリーの前に立つブルースさん

「インキュヴェーターのようなワイナリーにしたいんだよ」(孵化器)、とブルースは言います。「将来、ワイナリーを造りたいと思っている人たちが、ここで経験を積んで、ワイナリーを立ち上げる(たまごがかえる)ための場所だね」。
今後、ブルースのワインは上幌ワインのブランド名でリリースされていくそうです。

このワインを飲んだとき、ケルナー単独で、こんなワインができるとは正直驚きを禁じ得ませんでした。

心が震えました。

色合いはケルナーとしてはやや濃いめです。ハチミツ、クチナシ、そしてネクタリンのようなアロマが第一印象から感じられ、しだいアールグレーのようなニュアンスも出て来ます。もう味わう前から、その芳香にノックアウトです。

口中でもヴォリュームは十分、粘性があってリッチです。ドライなワインなのですが、まるで完熟して、蜜をたっぷり含んだ果物を食べているよう。余韻も長く、魅惑的。シャルドネにもソーヴィニヨンブランにもない独自の魅力を放っています。一度飲んだら忘れられません。

余市のブドウ農家・藤澤裕治さん
このブドウを育てたのは、余市のワインブドウ農家の藤澤裕治さん。
昨年は、少しでも良いブドウをつくろうと収量を制限したのが、異例の暑さゆえに裏目にでて、決して作柄に恵まれなかったのですが、このブドウは藤澤さんの努力を裏切らなかった。
このワインを飲んで、真っ先に目に浮かんだのが藤澤さんの顔でした。

こうしたすばらしい北海道のワイン、日本ワインをつくってくれたブルース、ブドウを育てくれた藤澤さんに、心より敬意を表し、おめでとうとありがとうの言葉を贈りたいです。
 おめでとう! ありがとう! ブルースと藤澤さん!!


産地:北海道余市町 藤澤農園品種:ケルナー
価格(税込み価格):2625円
容量:750ml
本数:1830
問い合わせ先:info@10rwinery.jp
ホールバンチプレスした果汁を自生酵母で発酵。一部陰干しブドウが入っている。
(文・写真:鹿取みゆき/写真:虹有社)

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